帝国大学の図書館で手紙を読む男。

元貴族家の末裔で、戦後の身分制崩壊で地位を失い、平民として生きる日々。

彼の名前は忘れられ、通称「ハイカラさん」と呼ばれる。

毎朝、東京の下町を歩きながら新聞を読み、ブラウン管テレビの音を耳にする。

駄菓子屋の窓辺で、女学生が読んでいる雑誌に目を留める。その中の一篇に、自身の過去が描かれていた。

ある日、図書館の本棚で偶然出会った女学生と会話が始まる。

彼女は帝国大学の生徒で、父が軍人だったが戦死し、母と共に生活している。

彼女の言葉には、時代の変化を感じさせる優しさと鋭さがあった。

二人の関係が深まるにつれ、男は自分の過去を隠す必要に迫られる。

女学生は彼のことを知らず、ただ「面白い人」と思っていた。

しかし、ある日、彼女の友人が男の出身を知り、驚きと冷笑を投げる。

男は女学生に別れを告げる。彼女は泣きながら、「あなたが好きでした」と呟く。

男はそれを受け止め、その夜、自宅の部屋で古い家訓の記録を焼き捨てた。

翌日、男は新しい職を求めて出発する。電車の中では、女学生が他の男と話している様子を見た。

彼は顔を背け、窓の外を見る。車内には、昭和レトロの音楽が流れ、人々は笑顔で話している。

男は、自分もまたこの時代の一部だと気づく。

そして、失恋という痛みを通じて、新たな人生の始まりを実感した。