昭和レトロの団地街では、ブラウン管テレビが夜の終わりを告げる。

探偵は新聞折り込みチラシで見つけた依頼を受け、老舗呉服問屋の跡取りに詰め寄られる。

契約書の原本は、帝国大学の教授が戦前まで保管していたという。

問屋の娘は、父が残した金庫を開けられず苦しんでいた。

探偵は金庫の鍵を発見し、その中には戦前の貴族家との秘密の契約が入っていた。

内容は、現代の資産や地位を手に入れる代わりに、ある権力者に忠誠を誓うものだった。

探偵は契約の真偽を確認するため、旧帝大の図書館へ向かう。

そこで出会ったのは、かつて政治家だった男の遺児だった。

彼は父の名前を隠しながら、契約の存在を知らせる手紙を渡す。

その中に、今も生きている人物の名前が記されていた。

関東大震災後の復興期に、この契約が作られた背景は、西洋文化の流入と日本の伝統の衝突だった。

探偵は、契約を破棄すれば誰も得しないことを悟る。しかし、それを守ればまた一つの権力が生まれる。

最終的に、探偵は契約を燃やし、問屋の娘に新しい人生の道を示す。

彼は自分自身の契約をもう一度書き直すことに決めた。

昭和レトロの暮れの空に、一人の探偵が静かに歩みを続ける。