東京の街は明治末期から大正にかけての変化を乗り越え、電車の音と新聞の声が交錯する。
その中で、神社の巫女として働く少女が突然、別の時代に放り出される。
彼女の身体は現代のものだが、記憶は戦前のもので満たされている。
彼女が目を覚ます場所は、ある男子校の寮だった。
校則は厳しく、学生は制服を着用し、朝には神社への参拝が義務付けられていた。
この世界では、国家が個人の人生を直接管理し、家族や学校が社会の枠を形成していた。
少女は名前を「早乙女」とされ、同じ寮に暮らす無垢な少年・健太郎を護る役割を担う。
彼は母親が亡くなり、父親が海外に赴任したため、孤独に育った。
早乙女は彼を守るために、常に近くにいて、彼の行動を制限し、感情を抑圧する。
だが健太郎は次第に反抗的になり、早乙女に近づこうとする。
彼は彼女が自分を溺愛していることを感じ取っていた。早乙女はそれを許せない。
彼女はかつて、自分の母親が同じように過保護な愛を押し付けてきたことを知っている。
その結果、母は精神的に崩れ、自死した。
ある日、健太郎は寮を抜け出し、町の商店街で働き始めた。
早乙女は追跡し、彼を連れ戻そうとするが、彼は「あなたは私を好きでいるのか?
それともただ守らなければならないだけなのか?」と問う。早乙女は答えられない。
翌日、健太郎は事故で亡くなる。早乙女はその瞬間に、彼の死が「裏切り」であることに気づく。
彼の父親は、早乙女が所属する神社の元参事長だった。
彼は健太郎を「特別な存在」として見なし、早乙女を操って彼を支配しようとした。
早乙女はその真実を知り、神社を離れ、新しい時代に生きる。
彼女の身体は現代に戻り、かつての記憶は消えた。だが、彼女の内側には、すべての記憶が残されていた。
彼女は再び巫女の身となったが、今度は自分自身の道を歩む。
彼女の物語は、過去と現在の断絶の中で、新たな選択を示す。


