1958年、東京郊外の団地で育った聖女・由紀は、帝国大学文学部に進学した。

母の死後、教会から孤児院を抜けた彼女は、神に捧げる生き方を誓った。

しかし、同級生の高橋健一との出会いがすべてを覆す。

彼は実業家令嬢の息子で、由紀の純粋さに惹かれ、毎週末に団地に訪れるようになった。

教会では「恋愛は罪」と教えられていたが、由紀は彼の手を握り、心の奥底で何かが崩れ始める。

二人は駄菓子屋で並んで立ち、ブラウン管テレビの番組を見ながら語り合う。

その夜の静けさの中で、由紀は初めて「愛」という言葉を口にした。

だが、高橋家の財閥が教会に寄付を停止したという噂が広がる。

由紀は教祖から呼び出され、「あなたは聖女としての義務を果たせ」と告げられる。

一方、高橋は由紀の過去を知り、彼女を引き取ることを約束する。

そして、ある日、由紀は教会の書庫で、高橋が自分の名前を消した経理帳を見つけた。

彼は自分を捨てて、由紀を守るために裏切ったのだ。由紀は涙を流しながら、教会を出て行く。

団地の入口で、彼は「私があなたを好きになったのは、あなたの純粋さのためだ」と呟いた。

その言葉は、由紀にとって最期の刺し傷となった。

彼女は再び教会に戻り、聖職者としての日々を送る。だが、心の中には永遠に残る傷がある。

昭和レトロの日常の中で、彼女の人生はスローライフのようだったが、その中に潜むのは深い郁展開だった

聖女としての使命と、恋愛という罪の狭間で、由紀は自らの運命を選ぶ。

その選択は、彼女の魂を焼き尽くすものとなる。